矯正治療が保険適用になる場合とは
通常の矯正治療は、基本的に健康保険は適用されません。しかし、下記の「国の定めた先天性疾患」による咬合異常に対する矯正治療や、顎の外科手術を要する顎変形症の手術前後の矯正治療、前歯3歯以上の永久歯萌出不全による咬合異常(埋伏歯開窓術を必要とするもの)に限り、保険適用となります。
保険適用される矯正治療を行える医療機関は、別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして、地方厚生(支)局長に届け出た保険医療機関のみになります。
仙台矯正歯科クリニックは、仙台市の認定を受けた「仙台市の認定を受けた指定自立支援医療機関(育成医療・更生医療)」「顎口腔機能診断施設」に認定されているため、これらの場合の矯正治療でも安心して治療を受けていただけます。
国の定めた先天性疾患一覧
- 01. 唇顎口蓋裂
- 02. ゴールデンハー症候群(鰓弓異常症を含む)
- 03. 鎖骨頭蓋骨異形成
- 04. トリーチャ・コリンズ症候群
- 05. ピエール・ロバン症候群
- 06. ダウン症候群
- 07. ラッセル・シルバー症候群
- 08. ターナー症候群
- 09. ベックウィズ・ウイーデマン症候群
- 10. 顔面半側萎縮症
- 11. 先天性ミオパチー
- 12. 筋ジストロフィー
- 13. 脊髄性筋委縮症
- 14. 顔面半側肥大症
- 15. エリス・ヴァンクレベルド症候群
- 16. 軟骨形成不全症
- 17. 外胚葉異形成症
- 18. 神経線維腫症
- 19. 基底細胞母斑症候群
- 20. ヌーナン症候群
- 21. マルファン症候群
- 22. プラダー・ウィリー症候群
- 23. 顔面裂
- 24. 大理石骨病
- 25. 色素失調症
- 26. 口腔・顔面・指趾症候群
- 27. メビウス症候群
- 28. 歌舞伎症候群
- 29. クリッペル・トレノネー・ウェーバー症候群
- 30. ウイリアムズ症候群
- 31. ビンダー症候群
- 32. スティックラー症候群
- 33. 小舌症
- 34. 頭蓋骨癒合症(クルーゾン症候群、尖頭合指症を含む。)
- 35. 骨形成不全症
- 36. フリーマン・シェルドン症候群
- 37. ルビンスタイン・ティビ症候群
- 38. 染色体欠失症候群
- 39. ラーセン症候群
- 40. 濃化異骨症
- 41. 6歯以上の先天性部分(性)無歯症
- 42. CHARGE症候群
- 43. マーシャル症候群
- 44. 成長ホルモン分泌不全性低身長症
- 45. ポリエックス症候群
- 46. リング18 症候群
- 47 リンパ管腫
- 48. 全前脳胞症
- 49. クラインフェルター症候群
- 50. 偽性低アルドステロン症
- 51. ソトス症候群
- 52. グリコサミノグリカン代謝障害(ムコ多糖症)
- 53. その他顎・口腔の先天異常
外科矯正とは
外科矯正は、通常の矯正治療に加えて、顎の骨の手術を併用する治療法です。顎の骨の形態的な変形や、上下の顎骨の相対的な位置関係の不調和が限界を超えてしまうと、通常の矯正治療で治せなくなってしまうため、噛み合わせの土台となる顎の骨を手術して、根本から治す外科矯正を行います。
外科矯正の場合、「顎変形症」という疾患名となるため、基本的に健康保険が適用され、通常の矯正治療よりも治療費用が低価格になります。手術の方法はさまざまで、下顎だけの手術、上下顎両方の手術、顎の骨の部分的な手術、などがあります。
手術はすべてお口の中から行うため、基本的に顔に傷あとが残ることはありません。
また、手術は当院ではなく連携している東北大学病院などの医療機関で行います。
外科矯正のメリット
- ほとんどの場合、健康保険が適用されるため、治療費用が低価格ですむ
- 土台となる顎の骨を手術するため、根本的に噛み合わせを治せる
- 顔の形をある程度整えられる
外科矯正のデメリット
- 手術のための入院が必要になる(およそ2週間前後)
- 手術時の全身麻酔のリスクがある
- 手術後、顔が大幅に腫れる(腫れは術後数週間でひきます)
- 手術後に知覚神経の麻痺・痺れがでる(ほとんどの場合、いずれ消失します)
- 手術後数週間は通常の食事ができないため、流動食になる
外科矯正の基本的な治療の流れ
初診相談(30~60分)
目で見てわかる範囲で歯並びの状態と、予想される治療方針・期間・費用などについてご説明します。ご希望される患者さまのみ、次の精密検査に進みます。
精密検査(約60分)
口腔内診査、各種レントゲン撮影、顔面・口腔内写真撮影、印象採得(歯の型どり)、顎機能検査などを行います。
治療プランの相談(30~60分)
検査の結果を詳しくご説明します。その後治療プランをご提案しますので、お話し合いで治療方針を決定します。
術前矯正治療
通常、顎の骨の手術をする前に、上下の歯を別々に矯正治療します。症状によりますが、通院間隔はおよそ1ヵ月に1回で期間はだいたい1~2年です。また、入院前の検査などを行うこともあります。
手術
手術を行う医療機関に入院して、顎の骨を手術します。入院期間はおよそ2週間前後です。
術後矯正治療
手術後は、顎の骨が治癒するまでの間、開口練習をしたり、矯正治療を行って噛み合わせの修正や微調整などを行います。通院間隔はおよそ1ヵ月に1回で、期間は通常半年くらいです。
保定・メインテナンス
移動させた歯が戻らないように保定装置でしっかりと保定する(押さえておく)期間です。また、この期間に顎の骨を固定しているプレートの除去を行ったりします。通院間隔は1年に2~3回です。
メインテナンス
保定が終了して噛み合わせが安定した後は、生涯にわたり歯の健康を保てるよう、2ヵ月から半年に1回、虫歯や歯周病の予防に力を入れたメインテナンスを行っていきます。